世界のお茶の飲み方

worldtea

世界で最も多く飲まれ愛されているお茶。日本では緑茶が主流ですが、世界ではその飲まれ方も多様です。
ここでは世界の中でお茶がどのように飲まれているのか、日本人にはなじみの薄いものをご紹介します。

チベット ~遊牧民族らしい濃厚な味わい

チベットではお茶が採れず、昔は嫁入り道具のひとつとされていたほどの貴重品でした。
そのお茶の葉を運搬しやすいように乾燥させて押し固めたものを団茶と呼びます。
チベットではこれを少しずつ削って使います。

チベットではお茶にバターを入れたバター茶が飲まれています。
チャイドンと呼ばれる大きな筒を使うのですが、このチャイドンは大人の腰ほどの高さがある大きなもので、そこに煮出したお茶を入れます。
そこにバターまたはミルクと塩を加えてかき混ぜた後、ポットに移して温めて飲みます。
寒い地域の遊牧民族らしい、濃厚な味わいのお茶です。

ロシア ~口の中でジャムを紅茶と混ぜ合わせながら

紅茶がロシアに伝わったのは、他のヨーロッパ諸国とは異なり、陸路だと言われています。
清と国境を接していたロシアは清との紛争を繰り返した後に交易を開始。その中でお茶が輸入されるようになりました。
ちなみにロシアでは「ティー」ではなく「チャイ」と発音します。これもお茶が陸路で伝わったためでしょう。

日本では、ロシアンティーとは紅茶にジャムを入れたものだと思われていますが、ロシアで紅茶にジャムは入れません。その理由は、紅茶が冷めてしまうことを避けるため。
もちろんカップにジャムを入れても構わないのですが、一般的にはスプーンにすくったジャムを舐めて、紅茶と口の中で混ぜ合わせながら飲みます。
またロシアではこれが一般的な紅茶の飲み方なので、「ロシアンティー」と言っても通じないそうです。

インド ~たくさんのミルクがスパイスの香りと相まって、どっしりとした味わい

インドの紅茶飲み方と言えば「チャイ」。チャイは主に北インドで飲まれており、南に下るに従ってコーヒーが飲まれるようになっていきます。
インドの人たちは日常的にチャイを愛飲しており、街のそこここにチャイの屋台が店を開いています。インドでは昼休みや仕事の後など、必ずと言っていいほどチャイを飲んでいます。
インドは紅茶の生産量が世界一ですが、輸出量は第三位。つまり国内で消費される紅茶の量が非常に多いのです。
元々イギリスの植民地時代、インド国内で生産された茶葉の中で質の高いものはイギリスへと持っていかれ、商品にならない質の低いものだけがインドに残されました。その質の低い紅茶を美味しく飲むための工夫が、インドのチャイを生んだのです。そのためか、質の高い茶葉でチャイを作っても美味しいものにならないと言われます。

チャイの作り方は、鍋に紅茶の茶葉と少量の水を入れて沸騰させ、そこにシナモンやカルダモンなどのスパイスを入れます。充分に紅茶が抽出されてから、ミルクと砂糖を入れて沸騰させ、泡が盛り上がってくるまで煮ます。
一般的にインドのチャイは大量の砂糖が加えられるため、少量が小さなカップで供されます。
ミルクの量が非常に多く味が濃厚で、スパイスの香りと相まって、どっしりとした味わいです。

イギリス ~1日の節目ごとのティータイム

イギリスは紅茶の国と呼ばれるほど、紅茶を愛している国として知られています。
ですが実は、イギリスでは紅茶が広まるまで一般的に紅茶よりもコーヒーが飲まれていました。コーヒーハウス、今でいうカフェで紅茶が出されるようになり、その後19世紀になって上流階級の人々の間で紅茶が大流行し、やがて中流階級にも拡大、紅茶文化が花開いていきました。
当時イギリスは清からお茶を輸入していましたが、その人気はすさまじく、お茶の支払いはイギリスを極度の貿易赤字に陥らせるほどでした。このことがやがてアヘン戦争へと繋がっていってしまうのですが、それはまた別の話。

日本でも一般的にイギリス式の紅茶が飲まれていますが、本場イギリスでは一日の節目ごとに紅茶を飲みます。
寝起きの一杯(アーリーモーニングティー)、朝食時(ブレックファストティー)、午前十一時の休憩時(イレブンジスティー)、昼食時(ランチティー)、午後の休憩時(アフタヌーンティー)、仕事が終わってからの一杯(ハイティー)、夕食時に一杯と、一日中紅茶を飲んでいると言ってもいいほど。
それに合わせてお茶菓子文化も非常に多彩で、そのための道具類は世界で最も発達していると言って良いでしょう。

アイルランド ~朝昼晩、時間を決めずに一日中

アイルランドは一人当たりの紅茶の消費量が世界一。日本では知られざる紅茶消費大国です。
アイルランドではイギリスと違い、紅茶は大きなカップでがぶがぶと飲むもの。気取って飲むものではありません。多くの人が茶葉を使って淹れるよりも、ティーバッグを使って気軽に楽しんでいます。
日本ではファストフード店のハンバーガーと一緒に飲むのはコーヒーや炭酸飲料が相場ですが、アイルランドでは紅茶が一般的。
イギリスと同じように朝昼晩、時間を決めずに一日中紅茶を飲んでいるアイルランドでは、どこに行っても紅茶が飲めます。
そんなアイルランドでも近頃は若者の間で紅茶よりもコーヒーが飲まれるようになってきている様子です。紅茶は年寄り臭いと若者には敬遠され始めているのだとか。
アイルランドに限らず日本でも同じような話を聞きますが、それは世界共通のことなのでしょう。