世界で最も親しまれている飲み物・お茶

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世界で最もたくさんの人に飲まれ親しまれている飲み物は、紅茶を含むお茶です。生産量だけを見るとコーヒーの方が多いのですが、杯数計算で言うと圧倒的にお茶なのです。日本ではお茶よりもコーヒーの人気が高まって来ていますが、世界的に見れば人気のある嗜好品としての飲み物は、お茶なのです。これはコーヒーよりもお茶の方が胃への負担が軽く、たくさん飲めるという事情もあるものと思われます。

お茶は緑茶と、ウーロン茶などの中国茶、そして紅茶と大きく分けられますが、これらはすべて同じ、カメリアシネンシスと呼ばれる椿の仲間であるお茶の葉から作られています。緑茶は小さめの葉を持つ小葉種、中国茶や紅茶は大きな葉を持つ大葉種の葉が使われます。
緑茶や紅茶などお茶の味や見た目の違いは製法によるもので、緑茶と違い、中国茶や紅茶はお茶の葉を発酵させて作ります。緑茶は無発酵茶、中国茶は半発酵茶、紅茶は発酵茶です。

緑茶はお茶の葉を摘み取ってすぐに熱い蒸気で蒸します。この時にお茶の葉の中に含まれている酵素の働きが止まるため、発酵しなくなります。その後、揉んでから乾燥させます。
中国茶や紅茶は摘み取ってからイチョウ棚と呼ばれる棚に並べて、十四、五時間乾燥させていきます。この時に葉の中に含まれる酵素が働いて、発酵していきます。
中国茶などの半発酵茶の場合は葉を揉む工程で熱を加えるために、そこで酵素の働きが止まってそれ以上発酵しなくなります。
お茶の発酵はヨーグルトなどの乳酸菌によるものと違って、酸化酵素の働きによって発酵させる酸化発酵です。

お茶は元々中国の広東省・福建省あたりが原産です。
ヨーロッパには海路で、アジアの各国には陸路で伝わったと言われています。お茶の原産地の発音がそのまま伝わって訛り、ヨーロッパではティー、テ、アジアではチャ、チャイと呼ばれるようになりました。

原産地の中国では緑茶が飲まれ続けていますが、発酵茶である紅茶はイギリス人の要望から生まれたと言われています。
イギリスはかつて中国から主に緑茶を輸入していましたが、その中に半発酵茶が含まれており、その味が緑茶よりも好まれたため、発酵茶としての紅茶が生産されるようになったと言われています。

世界でお茶がより多く飲まれている理由として、インドや中国といった大量の人口を抱える国で主流の飲み物であることが挙げられます。
意外かも知れませんが、中国で主流のお茶は中国茶ではなく緑茶です。実はウーロン茶などの半発酵茶は生産量も消費量も緑茶より少ないのです。またコーヒーはつい最近まで体に悪いというイメージを持たれており、飲む習慣がありませんでした。
インドやスリランカで親しまれている主流の飲み物は紅茶ですし、イギリスやロシアでもたくさんの紅茶が飲まれています。
ご存知の通りイギリスは紅茶文化発祥の地。紅茶をどこよりも大切にしている国です。コーヒーよりも紅茶が飲まれるのは当然とも言えます。
その影響を受けているイギリス連邦の国々でも紅茶は愛されています。オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの国々がそれに当たります。イギリス連邦の国々で愛され試合時間が長いことで知られるクリケットでは、休憩時間に紅茶が飲まれています。あまり知られていないようですが、イギリスのお隣アイルランドでも紅茶が多く飲まれています。
インドやスリランカ、またネパールではミルクに紅茶の葉を入れて煮出したチャイが飲まれています。これらの国々でチャイは道端の屋台でも売られている、ごく一般的な飲み物です。
またロシアではコーヒーよりも紅茶が好まれるようで、紅茶にジャムを入れて飲むのが一般的です。一説にはロシアでは西ヨーロッパに対する文化的劣等感が強く、イギリスで広まった紅茶の文化に惹かれて、コーヒーよりも紅茶が愛されるようになったとも言われています。
紅茶はカフェインをたくさん含んでいると言われますが、一杯当たりのカフェインの量は、紅茶よりもコーヒーに多く含まれています。興奮剤としてのカフェインは血管を収縮させるために体温を下げてしまいます。その理由からも寒いロシアではコーヒーよりも紅茶が好まれているのかも知れません。
実際に、温かい紅茶を飲んだ後の体温上昇は生姜湯を飲んだ時よりも高いという実験結果も発表されています。

世界で多くのお茶を生産しているのは1位中国、2位インド、3位ケニア、4位スリランカとなっています。またトルコ、ベトナム、インドネシアといった国々でも多くのお茶が生産されています。紅茶の文化を持つイギリスでお茶は生産されておらず、ほぼ輸入に頼っています。
もちろん日本でもお茶は生産されていますが、その生産量は世界の中では10位とそれほど高いものではありません。最近では緑茶以外もウーロン茶や紅茶も生産されるようになりましたが、ほとんどが輸入品です。輸入された紅茶の半分がペットボトル飲料などの原料となります。
日本に輸入される紅茶の多くはスリランカ産で、次いでインドが多くなっています。

人口が多い国の基準として一億人がひとつの目安ですが、世界でおよそ200の国と地域がある中で、それはわずか11か国しかありません。
そのうちの中国、インド、そしてロシア、日本といった国々でお茶が多く飲まれているのです。中でも中国とインドは世界第一位と第二位の人口を抱える国で、この二か国だけで世界の全人口の三分の一を抱えています。杯数の多さでコーヒーよりもお茶が勝るのも当然と言えましょう。